2012年8月3日金曜日

女知床一人旅 その5

旅には出会いがつきものだ。

朝、出会ったコリアンのキムと
知床五湖の入り口で再会した。

「ちょうど、帰るところだ」という彼。

朝「知床五湖に行く」という彼の決断を聞いていたので
別に出会ってもおかしくはないのだけど
もう会えないと思っていた人に
偶然再会すると、必要以上に嬉しい。

テンション高く「どうだった?」と聞くと
「知ってるでしょ? 霧ばっかだよ」と
やっぱり、霧の話をするのだった。

再び、しかし、朝より固く握手をして
テンション高いままに別れた。

「随分、国際的なのねぇ」

その様子を見ていた同じトレッキンググループの奥様が呟いた。

知床五湖のトレッキングに参加していたのは
私を含めて5名。

昨年のその日に北海道で結婚式をあげて
結婚1周年の記念に、と再び知床に来たカップルと
千葉から来ていた旅好きのご夫婦。
年齢を推測するに、私の両親よりも10歳以上は上だ。
なのに、とっても健脚でお元気で好奇心豊かな感じのいいご夫婦だった。

千葉の奥様とは
同郷ということがわかり
その瞬間から打ち解けた。

説明を聞きながら
ゆっくりと
出会ったばかりの人と一緒に歩く道。

不思議な縁だな、と思う。

すごく短い時間でも
なんとなく、お互いに適した距離感が出来上がる。

奥様がカメラの操作がわからないと言えば
私がしゃしゃり出る。

カップルが全ての湖の前で写真を撮ろうとしていることに気付けば
湖に夢中になっていっても
お父様がさっと身をひいて場所を作ってあげる。

こういう大人の気遣いや関係性は
そのときだけだからこそなのか
心地の良いものに感じられる。

肝心の湖は
キムの言っていた通り見事に霧で覆われていた。

カップルが「去年見た湖と全然違います」と言っていた。

「でもそれは言い換えれば幻想的ね」
と奥様がふわりと笑うと
確かに、とみんなで霧の景色に見ほれる。

静かに穏やかに時は流れていった。


0 件のコメント:

コメントを投稿