2012年8月3日金曜日

女知床一人旅 その7

二日目は朝から
森の散策。

この日ご一緒したのは
前日の知床五湖のトレッキングでも一緒だった
千葉のご夫婦。

「昨日はよく眠れた?」
朝から心地の良い笑顔で話しかけてくれる奥様と旦那様。
このお二人とはなんだか縁があるようだ。

朝一番から、遠くに熊を見つけ
興奮気味に散策がスタートした。

この日も天気は曇り。
でも、雨は降っていないし
霧も深くないし、合格点だろう。

ただただ「知床」という土地の成り立ちを聞きながら
野の花やクマの寝床などを見て
鳥の声に耳を澄ましつつ歩く。
時々、野生のシカさんが私たちの先頭を歩く。

こういう、
普段過ごせない時間の使い方が好きだ。

ある瞬間、シカが
ものすごく警戒をした空気が走った。

その目の先にいたのはキツネ。

「動物が動いた時に、その動物の目線になって、その先を見ると
何が起こっているのかわかりますよ」

ガイドさんがそう言った。

動物の目線になる。
森がどのように生きてきたか考える。

この土地の主役は人間ではない。

人間が動物の生きる世界にお邪魔させてもらっている。
そう考えるのだそうだ。

そんな考え方、したことなかった。

「知床」という土地に興味があり
死ぬ前に一度は行ってみたい場所リストに入っていたのだけど
一度来ると、また来たい、と思う場所なのかもしれない。
もっと知りたいことがたくさんある。
動物や木々、自然の生き方を見せて欲しい。

散策の途中に、前日に遠くから見た滝
「乙女の涙」の近くに行った。

双眼鏡でみたら
大粒の涙がタマのように落ちていった。
号泣している。

男は背中で泣く、と聞いたが
その裏で女は号泣していた。
なんだ。両方とも泣いてるんだ。

自然の生き方の中に
人の息吹が見える。

そんなことを思っていたら
さっきまで雲で覆われていた空が
すっかり抜け
知床連山がくっきりと
凛々しく姿を現した。





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