2012年6月21日木曜日

ハンサムな女

「あれ? そんな顔だった? プチ整形?」

東京に戻って
久々に会った人からプチ整形疑惑が持ち上がった。

「札幌とか言って
本当は韓国経由だったんじゃないのぉ??」

その反応は

関西人気質の私としては
かなりおいしくて

あらゆる場所でネタに使っているのだが
実際のところ
プチ整形はしていないので
なんか変わった原因はメイクだろうと思う。

女の人は本当に
メイクで印象が大きく変わる。

北海道でファッション関連の番組に
携わらせてもらっていた時に、間近でその事実を見続けた。

私も普段メイクをするけれどいたってナチュラル。
というか、そんなにしない。

メイクをするようになって約15年。
何度かは自分に似合うメイクの研究を試みたこともあるが
なかなかうまく終着しなかったため
まぁ、こんなもんでいいだろう
みたいな取り組みだった。

そんな私のメイク魂に火を灯した女性がいる。

その北海道の番組で
番組レポーターである素人の女の子達の
ヘアメイクを担当してくれていた女性、あいちゃんだ。

一番最初に会ったときの彼女は
黒いキャップを被っていたけど
その下に見える力強い目元と凛とした表情が印象的だった。

しかも、私よりも5歳程年下の彼女は
色々な意味で私よりもはるかにしっかりしていた。

格好いい女性。
そう思った。


その後、番組でメイク特集を組んだ時
彼女が番組ゲストとして出演してくれることになった。

彼女は「女性はみんな輝ける。
女性がキラキラ輝く、そのための一歩にメイクを使ってはどうでしょう?」
というような提唱をしていて
メイクレッスンや、お出かけ前のメイクを施してくれる
メイクアップサロンなども経営している。

メイクで綺麗に身支度を整えることがゴールではなく
明るく生きていく手段や通過点の1個がメイクであるという考え。

その考え方が素敵だし
彼女は本当に魅力的な人だな、と思った。

そして、こういう話を彼女の口からしてもらったら
女の子はメイクの捉え方を変えるかもしれないし
彼女を掘り下げることで
この先、何がしたいかわからないと思っている
女の子達の何かの1歩になるかもしれない、と思った。

だから、メイク特集といいながら
メイクのHow toだけに収めず
彼女がなぜ
メイクというものを使って仕事をするようになったのか?
というような話までしてもらう構成にした。

私は構成を書く時
私の師匠だと思っている方の話を思い出していた。

「なぜその物事を始めたか。というきっかけが大事。
それさえ忘れなければ、ずっと続けていく原動力になる」

彼女のきっかけを聞くことで
彼女自身の人生が見えて、
それが誰かの何かのきっかけになったり
きっかけを思い出す一つになるはず…

北海道ローカルだから、ということもあるのだろうけど
メイクだけでなくあいちゃん自身を掘り下げていく構成は
そのまま、採用されることになった。

収録現場で
私は話す彼女の目の前にいながら
私自身の子供の頃のことを思い出していた。

彼女は、自分の顔や体が好きじゃなかったのだそうだ。
そのコンプレックスをパワーとして
自分の顔をいじったりするようになり、
そこから、メイクやおしゃれが好きになって
今があるらしい。

私も自分の顔が好きではなかった。
今でもそんなに好きじゃない。

憧れのパッチリ二重でもなく
ただただ、印象の薄い顔だなぁ、と子供の頃から思っていた。

でも、眉毛だけは父親譲りの立派な眉毛で
「凛々しい綺麗な眉毛ね」と誰かに褒められる度に眉毛を抜き、
「睫毛が長くていいね」と言われると睫毛を抜いた。

顔が嫌いだから
褒められることで顔を見られるのが嫌で
褒められる要素をなくそうとしていた。

昔程のコンプレックスはいつからか消えたけど
それでも
完全に抜けたかというとそうでもないと思う。

まさか、メイクで
自分の顔を好きになれるかも、なんて考えたこともなかった。
30も半ばになってその事実に気づくなんて衝撃だ。
誰かの何かの気づきになれば…なんて思っていたのに
自分自身が何かに気づいてしまった。

彼女のおかげで
色々な意味でメイク特集の回は私にとって
すごく印象深い回となり
もう少し、女である自分を見直して
自分の顔も好きになり
自信を持った生き方をしてみたい、と思った。

そのきっかけの一端をメイクに担ってもらうことも
それはそれで、女性に与えられた特権かもしれない。

今より15kgくらい太っていた頃に
トミコに言われた言葉を思い出した。

「あんたは、ある程度の年齢を重ねてしまったから
内面は今更そんなに変えられないけど
外面はいくらでも変えられるんだから、とりあえず痩せて外面を綺麗に磨きなさい。
そんなんじゃ寄るものも寄り付かない」

確かに外面は心がけ次第で変えられるのだ。
その時は外見全体を指していたけど
顔だってそうだ。
自信がないと自信がない表情をしてしまうのだろう。
メイクをきっかけに表情だって変えられるだろう。

そんな気づきをくれたあいちゃんに感謝をしつつ
私は今日もメイクをする。

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