2012年6月26日火曜日

女知床一人旅 その2

あらかじめ申し込んでいた
知床岬へのクルージングまでの時間を
バスのターミナルで過ごしていたら
何度かバスの時刻を確かめにきた人がいた。

彼の名前はキム。
横浜在住のコリアンだった。

ベンチの隣に座った彼と
久々に話す英語に戸惑いながら
どこから来たか、とか
今日をどう過ごすか、とか
この先どこを旅するか、といった
旅人同士の会話をした。

その瞬間、外国にいるみたいで
昔、1人で海外を回っていた頃を思い出した。

「知床岬のクルージングを申し込んでいるんだ」
と言う私に
彼が放った言葉は破壊力を持っていた。

「多分、それ出来ないよ。だって、霧がすごいんだから。
僕もさっき出来ない、って言われたんだ」

「そんなことないでしょ、だって天気予報は晴れだよ」
私は彼に答えながら
さっき歩いたときに気になった霧の存在を思い出した。

電話でクルージング会社に確認したら
案の定「霧のため船は出れないかもしれない。
でも、出る可能性もあるからひとまずオフィスに来て」とのこと。
もし、船が出るなら僕もそれに乗る、と言う
キムと一緒にオフィスに向かった。

出るよね、船出るよね?と頻りに言う私に
苦笑いのキムと向かった先で出ていた結論は
「霧のためクルージングは中止」ということだった。

深夜バスで知床に到着し
朝からクルージング、という
私のプランニングは完璧だったはずなのに
早速くるってしまった。

その私に追い打ちをかけたクルーズ会社の人の一言。

「天気予報、滅多に当たらないんですよ〜。
たまに当たったら、あぁ今日は当たったね、って感じですよぉ」

そうか。
北海道は外国だった。

私とキムはとりあえず、
オフィス併設のカフェでなんとなく時間を過ごすことにした。

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